塗装工事業者選び、15のポイント

ポイント1 近いこと

なんだかんだと言いながら 「近くの業者」に勝るものはありません。

今も昔もやっぱりなくならないのが塗装業者選びです。 私たち日本建築塗装職人の会は、昔から消費者の方々のご相談に乗ってまいりましたが、時代は変われど、お客様はいつも業者選びで迷っていらっしゃるようです。
そこで、新しい時代に合った、新しい基準を紹介させていただこうと思っています。これは日本 建築塗装職人の会が日本全国何千社と見てきた中でのエッセンス集です。
まず、現在はインターネットの発達により、いろいろな業者がWEBサイトを持っております。 しかし、ここに最初の問題があるのです。 どのWEBサイトを見ても、似たような内容が記載してありますよね。

また、若干でも内容が違っていたりすると、どちらの内容が本当なのか、分からなくなることがあります。
また、WEBサイトはあたかも地元を装っているのに、遠く離れた業者だったとか、WEBサイトでは老舗を装っていたのに、ビルの一室で営業しているとか。実際、そんな苦情も多くなってきています。
そこで、塗装工事業者選びのポイント1は、やっぱり「近くの業者を選ぶ」です。(なぁんだ、と思 わずに、15までありますからひとつずつチェックしてみてくださいね)
結局、なんだかんだと言いながら「近くの業者」に勝るものはありません。 リフォームに際して不安になっていることは「リフォームトラブル」です。しかし、近くの業者であれば、契約前に事務所(本社)を見に行くことも、本社まわりでの評判を聞くことも可能です。 結局、近所の方々はよく知っているもの。WEBサイトより確かな情報がそこで得られます。
高い、安いに一喜一憂するよりも、「長い安心」を買うには、 実際に目と耳で確かめるのが一番ということですよね。

ポイント2 経営状態が健全であること

業者との長いお付き合いとなる外壁塗装工事。会社がなくなってしまっては困ります。
塗装業者選びのポイント2は「健全であること」です。昔より「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と言われていますが、それは会社も同じです。 リフォームは、どんなに良い工事をしてもらっても、工事をした後が大事です。「ちょっと気になるなぁ」と思った時に、電話をしてすぐに対応してくれるということが「安心」に繋がり、それが、ずっと続いてこそ「やっぱり頼んでよかった」という満足に繋がりますよね。
逆に、いつも忙しそうな対応をされてしまうと、どうしてもお電話をかけづらくなり、言いたいことも言えなくなってしまい、「良い工事で親切な会社だと思っていたのにがっかりだなぁ」となってしまいます。
では、これからの時代、何を見て健全かどうかを判断すれば良いのでしょうか?
WEBサイトにはいろいろな情報が公開されていますが、写真も画像もいくらでも修正できる時代です。そんな時代の中、新規の業者様を選ぶ際に見るべきものは、「その会社の経営状態」です。
上場企業は、経営状態が公開されています。また、公共工事事業者では「経営審査」という基準があり、上場していなくてもその経営状態を確認することができます。
一方でリフォーム専従の民間企業においては、まったく確認することができません。 会社が潰れる理由は経営状態の悪化以外ありませんから、あらかじめ確認をたいものです。
では、上場していない民間企業には、現実的に何を確認したらよいでしょうか?それは、毎年の法人税の納税証明書です。毎年きちんと法人税を納税しているということは、きちんと利益を出す経営をしているということですから、健全であると判断して良いでしょう。
最近では会社案内にきちんと表示されている会社もあるようですから、そのような情報を開示できる会社は、工事にも自信があると考えて良いでしょう。
全国の業者様の経営を見ている日本建築塗装職人の会本部が、そう断言いたします。

ポイント3 理念を持って会社経営をしていること

理念は社長の「考え方」や「思い」そのものです。共感できるかが信頼の第一歩です。
塗装業者選びのポイント3は「理念を持って経営しているか」です。 お客様がリフォームを依頼する場合、「何かあっても近いほうが安心」という理由から8%以上の方が地域密着の中小企業に頼まれるようです。
ところが、中小企業のほとんどは、長く安定して経営を続けているところが少ないということ もあります。一方で安定経営の大手企業では「担当が代わったので分かりません……」と言われてしまうことがあります。
残念なことですが、人生で自分の家のことをしっかり把握してもらえる業者に巡り会えるのは稀なことなのです。
そしてこのような状況の中、お客様は「どの業者を選んだら良いか分からない」という不安を抱えているのです。
そこで近年、日本建築業者協議会(非営利型一般社団法人)では、「理念を掲げて経営に取り組んでいるお店を選んでください」と消費者の方々に呼び掛けています。中小企業は、ほとんど社長の考え方ひとつで、良くなったり悪くなったりします。会社の「理念」というのは、社長の「考え方」や「思い」そのものです。
「うちはいい仕事をしますよ」「〇〇という保証をしますよ」というような表面的なことは、簡 単に言えるものです。それよりも、「なぜ、今の仕事をしているのか?」という動機(理念)が明 確であることや、その理念が社員(職人)の方々と共有されているかどうかということを塗装工事業者を選ぶ前に、ご確認してみてください。
そして、あなた自身もその会社の理念に共感できるかどうか考えてみてください。

ポイント4 作業着を見ればわかる。身だしなみの乱れは心の乱れ

いい腕を持っている職人ほど身だしなみに気を遣います。
塗装業者選びのポイント4は「作業着を見れば分かる」です。これにはいろいろな理由があります。まず見た目で判断します。塗装業者さんというと作業着にペンキがついていて汚いというイメージがありますが、住宅塗装専門の塗装業者さんの場合、比較的きれいな作業着を着ています。なぜなら、直接お客様のお宅へ行き接客をしている間に、お客様から幾度となく注意を受けたり、不安がられたりした経験が少なからずあるからです。一方で、下請け仕事を中心に行っている塗装職人さんの場合、その経験がないため、直販店の職人さんと比べて汚い作業着を着ています。
そして、次には、ニッカボッカのズボンを見てみてください。袴のようになっているズボンを履いている職人さんは、比較的下請け業者に多いようです。(固有名詞では、超超ロングと言います) 直販店の場合には、袴のようなニッカボッカではなく、比較的幅の細めのニッカポッカを履いています。当然ですが、超超ロングは怖く見られることが多いからです。
そして、下請け職人さんの場合にはベストを着ていることが少なく、直販店の場合にはベストを着ていることが多いと思います。
最後にはニッカポッカの色です。下請け職人さんの場合、緑、黒、えんじ色、かあき色、等濃い色合いを着ていることに対して、直販店の場合には、白色、グレー、など薄い色のニッカポッカを着ていることが多いです。
そして原則的に、塗装専門の職人さんはニッカポッカを履いています。 塗装職人さんはジャンパーとスラックスタイプの作業着はあまり着ることがありません。 このような作業着の特長を見るだけでも、良い業者さん選びのヒントになります。

ポイント5 施工中の現場に行ってみる

現場で職人たちがしっかりと仕事と向き合っている姿を あなた自身の目で確かめてみてください。
塗装業者選びのポイント5は「施工中の現場に行ってみる」です。 通常、室内のリフォーム等ではなかなか施工中の現場に行くことができませんが、外壁塗装では、施工中の現場を直接見ることができます。現場は正直であり、「その会社のすべてを物語っている」と言っても過言ではありません。ポイント4でご紹介していた作業着を見ることも可能です。
また、午前10時頃と午後3時頃は通常、休憩の時間となっており、職人さんたちも作業の手を止めて下でひと休みしていることもあります。そんなところでも素顔の職人さんたちを見ることができます。
一方、休憩時間以外に現場に行くことができたら、職人さんたちの作業車をまず見てみてください。
①車の中はきれいに整っているでしょうか?
②また、コンビニのお弁当のゴミやたばこの吸い殻が溜まっていないでしょうか。
③それから、車は洗車をして、比較的きれいでしょうか。塗装屋さんの車はペンキがついていても仕方がないという見方もありますが、ペンキ等も「付着したらすぐに拭くこと」できれいな状態を維持することも十分可能なのです。
④そして「ネタ場」と言われる、現場の材料置き場は乱れていませんか?
⑤さらに、現場のネットには社名の記載してある「看板シート」がきちんと張られているでしょうか。社名の記載していない看板シートの場合には、下請け工事業者様が来ている可能性が大です。

このようなところをご確認ください。見積りを取られた後に、近くでどちらで施工をされているかを確認いただき、お散歩のふりをして通りがかってみてください。ただし、たまたま片付いて いないこともあるかもしれませんので、ガチガチではなく、少し大目に見ていただけましたら助かります(汗)。基本的には現場が整っているお店はしっかりしたお店です。

ポイント6 髪型、見た目が きれいな職人ですか?

いい職人仕事をする職人ほど 身なりも整えているものです。

塗装業者選びのポイント6は「髪型や見た目」です。
当たり前ですが、茶髪・不精髭(ぶしょうひげ)・極端な眉毛剃りはNGです。これは道徳的な議論ではなく、全国的に見て、茶髪や不精髭・極端な眉毛剃りの職人さんたちがいるお店で、良いお店はあまりありません。施工技術力のあるお店ほど、若い職人さんでも短髪でさわやかな方が多いのも事実です。そして年配の職人さんでは 感じの良い笑顔の方が多いものです。
また、施工技術力のあるお店では、若い職人たちも強い情熱をもって仕事に取り組んでいます。それは、まるで学生時代の部活のような熱い雰囲気であり、皆が一直線な生き方をし、イキイキとしており、カッコイイと感じるものです。
このようにキラキラ輝いている職人さんがこの塗装業界にいるのです。(ただし、割合としては非常に少ないですが……)
その一方で、塗装業は3Kとも言われる仕事柄、お給料が他の仕事より高いこともあり、お給料目当てで働いている職人が多いお店では、「仕事に打ち込む」という雰囲気がありません。
仕事から気持ちが反れていることから、見た目が極端に華美であったり、目立つ風貌であったりすることが多いようです。そしてダラダラしていて、肌の張りもありません。実際に肌の張りが関係があるのかと思うでしょうが、しっかりとした施工を行ってくれるお店で働いている職人ほど、肌の張りと艶が良いものです。
中学卒業後すぐに塗装の道に入った代表親方も、最初から仕事1本ではなかったにしても、どこかで仕事に打ち込むきっかけが訪れて、「人生=仕事=趣味」という図式になっている方がほとんどです。その結果、今どきの若い職人たちを育成する際にも、特に厳しく髪型や見た目についても指導をしている姿をよく見かけます。
(元々、代表親方自身も若い時分には茶髪であったにも関わらず…汗)

ポイント7 言葉遣いや文字が丁寧ですか?

いつも「丁寧な仕事をしよう」と考えている人は必ず、丁寧な言葉遣い、丁寧な文字を書きます。

塗装業者選びのポイント7は「言葉遣いや文字が丁寧ですか?」です。こちらについては、塗装だけではなくあらゆる人間関係でも言えることでもあるかと思います。特に、住宅塗装やリフォームという高額商品の意思決定を行う場合には、お客様方は人間性をとても重要視されますが、その人間性を見るのに、「言葉遣いや文字の丁寧さ」は極めて重要な要素となります。
我々が業者を選ぶ際にも、仕事を任せる前にまず「言葉遣いや文字の丁寧さ」を見るからです。そしてそれはほとんどの場合で相関性があります。言葉遣いや文字が丁寧であれば仕事も丁寧であるし、言葉遣いや文字が丁寧でなければ仕事もそれなり、という原理原則は塗装業界にも当てはまると思います。
なぜかと考えてみますと、その裏には「思い」があります。そして「言葉」はその「思い」の最初 の表現方法でもあるからと思うのです。すると、いつも「丁寧な仕事をしよう」と考えている人は必ず、丁寧な言葉遣い、丁寧な文字を書きます。
それは、必ずしも正しい言葉遣いでなかったとしても、その裏にある「思い」を感じていただきたいのです。文字もまた同じです。こんな言い方は施工店の方々や職人さんたちに失礼ですが、私たちの塗装業界には中学を卒業して職人になった方が大勢おります。
そのような方は学生時代にはあまり勉強をしてこなかったため、文字等も上手に書けないことが多々あります。それでも「丁寧に書こう」という意識を持って行っている方は、必ず良い仕事をし、そのお店は多くの仕事と大勢の職人が集まり、大きく成長していきました。私はこの塗装業界でそのような会社を見てきました。
昔から日本には書道という文化があるように、書くということ、伝えるということは、この人間社会においては、人間育成の根幹をなすものです。書道に丹念に打ち込んだ人はそれなりの人格者となっているように、我々職人と言えども、大切なお客様方に、自分たちの仕事をしっかりお伝えしなければならないため「伝える言葉」にも日々に磨きをかけて、仕事を通して人生修行に励ませていただいております。

ポイント8 代表者さんは職人ですか?

代表者が技術職に携わっているお店のほうが、いつまでもよいサービスを提供しています。

塗装業者選びのポイント8は「代表者さんは職人ですか?」です。「必ず職人でなければならない」という意味ではないのですが、代表者も施工に携わり、施工技術を持っていますか?という趣旨と捉えてください。
なぜなら、リフォーム業の本質は技術職です。私たち日本建築塗装職人の会では長年、多くの施工店を拝見して参りましたが、世の中に多くあるリフォーム店でも、代表者が技術職に携わっている方のお店のほうが、いつまでもよいサービスを提供しているということが明確でした。
逆に、単に営業や宣伝が上手というお店の場合は、一時期多くのお客様が頼むことがあっても、長い目で見たときにその状況が継続していく確率が恐ろしいほど低いのです。
いくら提案や営業が上手でも工事に欠陥があれば、そのお店は長く続きませんよね。それが世の中の道理であり本質なのです。
そこで私たち日本建築塗装職人の会では繰り返し、「いかに塗装工事を売るか?ではなく、いかに良い塗装工事をするか?を中心にして、お店の経営をしていかなければなりませんよ」と勉強会での指導を継続しております。
これは総合リフォーム店でも、工務店でもまったく同じ原理です。代表者が施工について携わったことがある方か、ない方かで商品クオリティがかなり違ってきます。経営の安定性もまったく違ってくるのです。そして、どのお店に頼んでも、工事をするのは職人です。その職人たちがしっかりと仕事をしているかどうかは、そのリーダー(代表者)を見ればよいのです。
工事をするのは職人です。その職人たちが認めるリーダーであってこそ、リーダーの思いは実現されます。
リーダーの仕事に対する姿勢が、職人たちの仕事ぶりに、必ず直結しています。そのような意味から、「代表は職人さんですか?」「施工に携わっている方ですか?」とご確認してみてください。
ポイント9 事務所は整理整頓されていますか?
仕事が上手なお店ほど整理整頓されていて、在庫が少ないのも特長です。

塗装業者選びのポイント9は「事務所は整理整頓されていますか?」です。工事を発注する前に、本当にこの方々はしっかり工事を行ってくれる方なのか、ということを見抜かなければいけません。そのためには、単にお見積書の説明などを聞くだけではなく、実際にその人が行っていることを見学させてもらえば良いのです。
以前、「断捨離」という本が話題になりましたが、その本でも整理整頓すれば「心がすっきりする」「心が洗われる」と綴られていたように、心の思いと現実の世界は一致しているのです。
そのような原理から事務所の中もきれいに整理整頓されている業者さんは、やはり、仕事もきっちりしているとみていただいて間違いありません。

日本建築塗装職人の会でも何十年も日本全国の施工店を見させていただいておりますが、事務所が整理整頓されている業者さん=良い業者さんというのは、ほぼほぼ、間違いない方程式です。
最初は小さなお店であっても、きっちりしているお店はその後大きくなっていきました。良い業者を選ぶために、その業者の事務所を見せてもらいましょう。
お見積りをいただいた後に「一度、事務所にお伺いさせていただいてよろしいですか?」とお尋ねください。
また、事務所だけでなく、資材置き場でもよく分かります。仕事が上手なお店ほど整理整頓されていて在庫が少ないのも特長です。
私たちも、日々の仕事に打ち込み、お客様をいつお迎えしてもいいように、きれいに整頓してお待ちしております(笑)

ポイント10 フェイスブックなどでワイワイガヤガヤやっていませんか?

その人の仕事に対する姿勢とはいかがなものかを確認してみてください。

塗装業者選びのポイント10は代表親方の「フェイスブックを確認してみること」です。そこでは、どんな方々と友達になっているのかを見てみましょう。もし、怖そうな方々と遊んでいる写真ばかりだったらいかがでしょうか?居酒屋でワイワイしている様子ばかりだったらいかがでしょうか?
今ではフェイスブックを見ることで、その会社の代表者はどのような方なのかも確認することができてしまうのです。

フェイスブックでは、ただ見るのではなくて、
①その人の大切にしていることは何か
②その人はどのような方々と交友関係を持っているのか
③その人の人生観はどのようなものか
④その人の仕事に対する姿勢はいかがなものか
それらを確認しましょう。

人間はほんの一時であれば、上辺を取り繕ったり、本性を隠すこともできますが、長い時間の中ではその姿は、だんだんとありのままの姿になってきます。フェイスブックをご覧いただければその人の過去からの成長を感じることができるでしょう。

若くてパッと見は怖そうに見えても、しっかりとした人生観や仕事観を持っている方は、フェイスブックでも過去から見ていただくことで、その成長を感じることができるでしょう。
また、フェイスブックはインターネットの世界ですが、いわゆるオフィシャルな場でもあるのです。
まわりから自分がどのように見られているかをよく理解している方(他者視点を持っている方)であれば、お客様がどうしたいか?についても、よく理解する力を持っているといえますよね。
反対に、まわりから自分がどのように見られているかをわきまえていない方(自己中心的な方)は、相手の気持ちを理解することにおいても乏しいかもしれません。
住宅塗装は工事をしてから10年以上のお付き合いになるのです。社長がしっかりとした人生観・仕事観を持っている方であれば、社長がお年を重ねられても社員が順調に育ち、ちゃんと事業承継ができていると思います。そうなれば施工後も安心ですよね。ところが、そうではない場合には、10年~20年の間に倒産していくことになります。
地域密着のリフォーム屋さんも裏表なく、お客様の目をしっかりと意識をした健全経営をしていかなければいけない時代になりました。そして、立派なお店ほどそれをきちんと実践しています。

ポイント11 新卒社員を採用し、育成していますか?
若手新人職人を育成しているということは、会社の将来についてきちんと考えているということです。

塗装業者選びのポイント11は「新卒社員を採用して育成していく努力をしていますか?」です。私たち塗装業界の通例として「即戦力を採用する」「経験者を採用する」というものがあります。

ところが、経験者採用だけに頼っている会社も、長い時間の中でいずれ倒産をしていきました。経験者の特徴といたしましては、まず日当が高いこと。そして日当の条件の良いお店に転職を繰り返すことです。自分の腕に技術を身につけた職人さんの多くは、人生を通して塗装店ホッピングをし続けるのです。

正直、これは健全な人生観とはいえませんし、そのような職人さんは、一生現場親方か子方で終わります。会社を支える責任者まで成長ができないのです。

そのような状況からいえることは、中途採用の即戦力の人材ばかりを雇っているお店は、社長が年を重ねればいずれ縮小していくことが目に見えています。

社長に代わる責任者がいないからです。
ですから、我々塗装工事店はそのような業界の通例に逆らって、あえて大変でも若い職人を育成する努力をしなければなりません。
ところが、塗装店に来る若い子たちは家庭環境に何らかの問題があった子が多いのも事実。そうなりますと、塗装職人の育成とは、人間と人間のぶつかり合いになりますから、社長である代表親方がそれなりの人生観を持っていることが本当に大切です。

しかし、そのようなお店を経営する社長さんが増えることで、建築技術を継承していくことになり、建築業界全体をさらに成長させていくことにも繋がってゆくのだということを私たちは信じております。

一代で培った施工技術よりも二代、三代と長年、多彩な現場経験を通して培った施工技術のほうがクオリティが高いものであることは言うまでもありませんが、そのためには、「塗装店ホッピング」をしないよう若手職人を心を込めて育成していることが極めて重要であることなのです。

今のままでは廃れていく一方の日本の建築施工技術をもっともっと高めていくためにも、優れた腕と人格を兼ね備えた職人たちを残していくためにも、若手新人職人の育成に努めています。

ポイント12 工事業種を増やす努力をしていますか?

お施主様のあらゆるご要望にお応えできるよう、経営者も職人たちも向上心を持って技術習得に努めています。

塗装業者選びのポイント12は「工事業種を増やす努力をしているお店ですか?」です。
塗装専門店でも評判の良いお店は、お客様からのあらゆるご要望にお応えしようと、対応で
きる工事業種を徐々に増やしていく努力を惜しみません。

この成長変化は、対応できる工事業種を増やす努力をしているというよりも、お客様からのご要望にお応えする努力をしているというほうが正しいかもしれませんね。

ただし、このようなことはすべてのお店に当てはまる条件ではありません。
社長入れて10人以下の小さなお店の場合には、専門特化している方が確実に良い仕事をしてくれます。

外装のリフォーム関係であれば、塗装工事、シーリング工事、防水工事、屋根工事、板金工事、大工事を自社職人で対応できるようなお店が理想ですね。また、経営者が売り上げを伸ばそうと対応できる業種を増やそうとしても一朝一夕にはいきません。

ひとつの専門分野であれば、社長の経験があればある程度対応はできるものですが、複数の分野を持つためには、お客様のための良いリフォームをしたいという強い「情熱」と、その情熱の延長線上にある「理念」と、「高い人間性」を兼ね備えていなければなりません。

今は県に数社程度しかありませんが、これからはそのようなお店が少しずつ増えていき、益々リフォーム工事専門店が身近に感じられるようになるものと思います。次回以降のリフォームに向けても、そのような素地のある方に今回の塗り替えから発注してあげられると良いですね。

ポイント13 資格取得や各種登録をきちんと行っていますか?

事業者登録、取得している資格などを事務所内に掲げている会社は自信と責任をしっかりと持っているといえるでしょう。

塗装業者選びのポイントは「資格取得や各種登録をきちんと行っていますか?」です。各種登録とは、社会保険、雇用保険、労働保険、労災保険などの事業者登録です。また住宅リフォーム業の場合には必ずしも必要ではありませんが、建設業許可の登録や、場合によっては建設工事保険などに加入していることも建築工事店としての誠実な姿勢を表すものとなるでしょう。

信じられない話ですが、建築業界には、社会保険や雇用保険に入っていない業者が珍しくないのです。そのような会社には当然、一般の会社に勤めるような良い社員の方が定着しづらく、会社自体も長く続くとは考えにくいでしょう。

また、住宅塗装工事業の代表的な資格は、都道府県職業能力開発協会が認定する国家資格の一級、二級塗装技能士資格です。

ただし、この資格は幅広く塗装工事に適応しているため、必ずしも住宅塗装の実務において合致しているわけではありません。しかし、一級塗装技能士の資格を取得するためには、実務経験7年を要するため、仕事を行う上でのひとつの登竜門として毎年多くの塗装職人たちが資格取得にチャレンジしています。

この資格を取得しているということは、職人たちの自信になると共に、仕事に対する責任感や向上心の表れとみてよいでしょう。
また、関連する専門技術における資格は、「足場の組み立て等作業主任者」、「防水施工技能士」、「有機溶剤作業主任者」等があります。
その他、「2級建築施工管理技士」は、現場を安全に、かつ、しっかりとした品質で、予定工期までに工事を完成させるマネジメントに関わる資格です。

もちろん、すべての資格を最初から持っている会社はありませんが、社員の資格取得を心がけている工事店は、全国的に見ても信頼できる立派な会社が多いといえます。

ポイント14 工程管理表を見せてもらいましょう

このような社内資料は会社の姿勢そのものです。

塗装業者選びのポイント14は「現場の工程管理表を見せてもらうこと(※社内資料です)」です。
今はWEBでもチラシでも、どこも「うちはいい仕事をしますよ」とアピールしているので、結局のところ何を基準に選んだら良いのかわかりません。

ですから今でも、①材料と金額が比較検討の第一事項となり、その後は、②過去の施工宅やどんな職人さんが来るかを確かめます。その上で、③ご近所さんなどの口コミを信じるというのが多くのお客様の流れであることは否めません。ただし、それでも裏切られることがあるのです。

そこで、最近施工をされた現場の「工程管理表」を3件程度、お見せただくようにお尋ねください。
しっかりとした「工程管理表」があれば、工事もしっかりとしているものと思ってください。ところが「うちは長年の経験と勘で…….」「現場現場によって違いますからね……」等と言われ、見せていただけないのであれば、工程管理の習慣がない、もしくは職人が定着していないため、そのようなことを実行できない、外注職人に発注している等、いろいろな問題があるのかもしれません。

このような社内資料は会社の姿勢そのものですので、何を見聞きするよりも、その業者の信頼
度を確かめることができます。
もちろん、昔ながらの職人さんで工程管理表を作成しなくても誠実なお仕事をしている方が大勢いるのですが、若い社長さんのお店などであれば、工程管理表を確認をさせてもらったほうが良いと判断して間違いないのではないでしょうか。

公共工事事業者は「経営事項審査」といって、いかにきちんと経営をしているのかを役所からチェックされるのですが、今後は工務店や塗装施工店においても経営状態や信頼度の確認が大切になってくるようです。

ポイント15  施工宅を教えてもらい、訪ねてみましょう

仕上がりはもちろん、接客対応、施工中のマナー、施工後のフォローなどを聞くのが一番です。

最後のポイント5をお伝えいたします。それは、昔も今も変わらず「施工宅様を教えてもらう
こと」です。

前回書籍「塗替えで失敗しないために必要な、3つのこと」でも述べましたように、「言うは易く行うは難し」でしたね。そして、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉もありましたよね。施工宅を直接見て、聞いてみて損をすることは何ひとつありません。

ぜひ、施工店に過去の施工宅様のご住所と実名をご紹介してもらってください。そして、そのお宅様へ直接お伺いを立ててみてください。さらに、施主様と直接お話しになってみてください。確認をしていただくべき点は、仕上がりの美しさ(美観)とお客様の満足度です。

最近では、クリエイティブな仕上がりが増えています。
忘れがちな点ではありますが、塗装工事店は「色」というセンスで勝負する仕事をしています。そしてそのセンスを活かして美しい「塗膜」を仕上げることが仕事です。

そもそも、塗装とは「保護(塗膜)」と「美観(色)」のふたつの要素から成り立っているのですが、近年の住宅塗装においては、デザイン性においても既存の枠組みにとらわれないデザインが徐々に出てきております。

特に大型物件や公共工事、大手の下請などのお仕事であれば大抵、元請けからの指示どおりに施工をするため、施工店にデザインセンスを問われるケースは少ないのですが、住宅塗装直販の経験豊富なお店であればあるほど、お客様への提案力・デザイン力を備え持っています。

そして、その傾向は都市部ほど顕著です。ですから、単なる「保護」の一環で「機能としての住宅塗装」をされるだけではなく、この際に「美観」についても味わってもらいたいものですね。塗装をしてまったく違うデザインになっただけでも、気分が一新して毎日の人生が楽しく感じるものです。

つまり、私たちの住宅塗装業は「お住まいの不安を拭い去り安心を提供する」だけに留まらず、これからの人生の「幸せ」「喜び」を提供していくものに徐々に変わりつつあるのです。

出典:もう絶対に迷わない。塗装工事業者選び15のポイント